グリンダムの王族
やがて兄達のもとを離れ、セシルはクリスのもとに戻ってきた。
クリスも馬から降りている。

自分のもとへ戻ってくるセシルをじっと見つめている。

「、、、ただいま」

セシルが言った。

「、、、おかえり」

クリスが応える。言いながら、その目は微動だにせずセシルを見ている。

セシルはその視線に戸惑いつつ、「もしかして、見惚れてるの?」と冗談混じりに言った。

「、、、うん」

クリスは即座に答えた。その答えにセシルは苦笑しつつ、「それはどうも、、、」と言って目を伏せた。

「セシル、、、」

クリスが呼びかける。セシルは目を上げてクリスを見た。

「俺、、、いい男になるよう努力する」

クリスは真っ直ぐセシルを見ながらそう言った。
セシルはその言葉にちょっと驚いて固まった。

「時間かかるかもしれないけど、いずれ王になる時までに、、、。
セシルにふさわしい男になれるよう努力するよ」

クリスはそう言って言葉を切ると、「待ってて、、、」と呟いた。

セシルはしばらく何も言わずにクリスを見ていたが、やがてゆっくり微笑んだ。

「、、、期待してる」

クリスはそんなセシルの笑顔をしばらく見ていたが、やがて彼女に一歩近寄ると、そっと顔を寄せた。

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