グリンダムの王族

とても”分かっている”とは思えない。リズは堪え切れず、泣き出した。それに気付いたカインが、「あ、、、」と言いながら顔を上げた。
リズは両手で顔を隠すようにして、嗚咽を漏らした。

―――どうしてこんな目に合わないといけないんだろう。

悲しくてたまらなかった。

「、、、分かった。もうやめる。」

カインが言った。リズはその言葉に反応できずに、ただ泣いた。

突然親元を離された寂しさ、初めての恋が壊れた苦しさ、そして王族というものに対する言いようの無い恐怖。

全てに押しつぶされそうになりながら、リズは声を震わせて泣き続けた。

そんなリズを、カインはただ困ったように見つめていた。

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