グリンダムの王族
「男の人が、、、」

リズは促されるままに、答えていた。
もう適当な嘘で逃げる余裕は何処にも無かった。

カインはリズの言葉に少し間をおくと、「あぁ、、、」と納得したような声を出した。

「お前、男知らないのか、、、」

リズは膝に顔を埋めたまま、頷いた。

カインは苦笑すると、「クリス王子は何してたんだ」と独り言のように言った。

リズはその言葉には反応せずに、ただじっと顔を埋めたまま目を閉じていた。
本音を言ってしまったことで、少しだけラクになったような気がした。

「分かったから、、、顔上げな」

カインが言った。
”分かったから”という言葉に後押しされ、リズはゆっくり顔を上げた。そして隣に座る王弟を見る。

彼はじっとリズを見ている。顔を上げた彼女に笑みを浮かべた。

「泣いてばっかりだな、お前、、、」

その言葉に、リズは何も言えずに彼から目を逸らして俯いた。
カインはリズの横顔を見ながら、「お前みたいな子、初めてだよ」と言った。

「こんな見つけやすいところで、ちっちゃくなって隠れたりして。
しかも全然、隠れられてないし、、、」

言いながらちょっと笑う。リズはその言葉に赤くなった。
自分のマヌケな行動が、恥ずかしかった。
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