グリンダムの王族
セシルはリズをじっと見ていたが、不意にリズを連れて来た女官に目を向けた。

「マリア。リズの女官に伝えて。
リズは午後私と過ごすから、他の予定は無しにしてって」

リズはその言葉に目を丸くした。

マリアと呼ばれた女官は「かしこまりました」と頭を下げると、部屋を退出した。
それを確認して、王女がリズを見る。

「私の名前はセシルよ。カインから聞いているかしら?」

リズは「いえ、、、」と言いながら首を振った。

「紹介してくれてないのね。別にいいけど。よろしくね」

セシルはそう言ってにっこり微笑んだ。

彼女の笑顔になんだかほっとしてリズも笑顔になる。セシルは「どうぞ入って」と言ってリズを部屋の中へ案内した。



食事を食べながら、セシルはリズに自分のことを色々話してくれた。

「ラルフとカインはどちらも私の兄よ。
ラルフとは歳が離れていたから色々教えてもらったけど、カインは遊び相手だったわ。
剣や馬も、よく一緒に稽古したの。
そんなことばっかりしてたら、ダンス習うの忘れたまま育っちゃった」

セシルはそんなことを言いながら笑った。リズもつられて笑ってしまう。
セシルの明るさは、リズの緊張を和らげてくれる。

最初はなかなか進まなかった食事も、次第に美味しく食べれるようになっていた。
そんな風に食事を楽しめたのは、思えば久し振りだった。

「ここでの生活には慣れた?」

セシルが聞いた。リズはその質問に少し考えると、「私は平民だったので、何もかもが今までと違って、、、。まだ少し戸惑っています」と、正直に答えた。

セシルは優しく微笑んで、「そうよね」と言った。

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