お姫様と王子様
「なに、泣いてんだよ」
その言葉と共に背中が温かくなった。
「えっ……?」
今、あたしのことを抱きしめてるのは────…
「俺、やっぱり美香がいないとだめだ」
「かな、で?」
あたしの頬に、奏の髪の毛がかかった。
奏の肩は少し小刻みに震えている。
「美香、俺とまた付き合ってくれる?」
そんなの────────
「当たり前じゃん」
あたしには奏が必要だもん。
今回、改めてそう思った。