お姫様と王子様
「そう、だっけ?」
俺はワザと忘れたフリをした。
「えっ…忘れてた、の?」
岡野さんの目がウルウルしてきた。
「あぁ~確か、一ヶ月前くらいにそんなこと聞いたような気がするけど」
「神城さん、いつもお誘いをお断りされるものですから私…」
岡野さんは胸の前で
自分自身の手を握っていた。
この人、かなりのお嬢さんだな。
「ごめんごめん、でも俺…」
好きな女いるんだ。
そう言おうとしたけど、先生が来たので授業が始まってしまった。