雑踏のエントロピー


他愛もない世間話の合間にデザートのアイスが溶け始めても、彼女は気付いているのか、いないのか?

心は何処か別の場所を見つめていて、僕は居心地が悪かった。


だから、気付いたんだ。


彼女がいつも通り、笑ってくれないと何だか気持ちが悪いってことに。


そして、彼女を笑わせてあげられるのは、何も別れたあんな男じゃなく、僕にも出来るんじゃないかってことに。


だから、僕はこう彼女に提案した。




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