雑踏のエントロピー


文句を云われるかと思ったのに、意外にも素直に彼女は半分食べかけのケーキを口に入れた。


『ホントだ! 美味しい!』


彼女の笑顔につられて、僕も笑った。




今日の僕らはデザートの選択を間違えただけだ。


だって、僕には溶けたアイスの甘さがちょうど良かったから。




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