雑踏のエントロピー




『ちょっとっ! 煙草はやめるって約束したでしょっ!』


あ、やべっ。
つい。


慌てて、揉み消す煙草の火種に指先が熱い。


だけど、そんなことはお構いなしに投げ掛けられる声音はツンドラ級にヒヤッと冷たい。



『てか、今、あっちの女の人に見惚れてたでしょ?』


えっ、あっ、バレてる。




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