雑踏のエントロピー
小学生の時にからかわれて、『あんなヤツ好きじゃないもん。ただの幼なじみだもん』って云った呪文にきっと未だに囚われてる。
諦めきれずに上京までして追いかけたのに、たまに二人で食事して仕事の愚痴を聞いて貰うだけで満足しちゃって、馬鹿みたい。
しまいには、会う度に彼女の話なんか聞かされるようになったもんだから、いたたまれなくなって自分から会う回数を減らした。
更には、アイツがどんだけ彼女が好きか解っちゃって行き場がなくて田舎にまで逃げ帰って来ちゃったなんて、情けなくて涙が止まらないったら、ありゃしない。