これが俺の体験
東京からの電話
その日は朝から騒がしかった。
ダブルベッドで寝ているボクにも聞こえるぐらい。
「良!起きろ!」
「どうしたの〜?」
目をゴシゴシこすりながら前を見る。
声から分かっていたけど、母親だ。
「正から電話が入ってるの」
「えっ?お兄ちゃんから!」
ボクは慌ててダブルベッドから降りようとしたが。
「わ――!!」
べちゃっと鼻を打ち付けてしまった。
「鈍くさいわね」
仕方ないでしょ!
このベッドが高すぎて、足が届かないんだから。
「笑ってないで助けてよ!」
「はいはい」
母はボクを抱き起こした。
鼻が痛い。
「早く東京からだからすぐ切れるわよ」
そうだよ!急がないと!
ボクは寝間着のまま、居間に向かって走った。