これが俺の体験
いきなりの帰還
季節は秋に変わろうとする8月下旬。
蝉時雨が一層と激しくなって、暑さが増している気がした。
汗だくになりながら、気力と体力の両方を吸われ、やる気が全く出ない。
暑さを凌ごうとかき氷を作っていると、おっちゃんが帰ってきた。
「お帰りなさい」
「ん?かき氷か?」
「暑いからね。冷たいものが欲しくて」
「お前は食べ過ぎるからな。少しは自重しなさい。腹こわしたりするから」
だって……暑いんだもん。
自重なんか出来ないよ。
「おっちゃんもいる?」
「いんや、ワシはこれから出るからいらない」
「どこへ?」
「ちょっと……な」
おっちゃんは苦笑しながら再び家を出ていった。
だけど何故か不穏な感じがする。
まるで何かが起きているみたいに。