これが俺の体験
ボクの敵
おっちゃんはボクを皆から離すと、ゆっくり降ろしてくれた。
「良、正に気付かないか?」
え……?
気付かないって?
「アイツをよく見てみろ。今のお前なら見えるはずだ」
まさか……
ボクは嫌な予感がした。
そのまま正お兄ちゃんを見ていると、急激に寒くなった。
「見えたか?」
ボクは涙目になりながらコクコク頷いた。
「あの肩にいるのが、お前がいつか戦う相手だ」
ボクは見てしまった。
朝だから霊感も弱いはずなのに、見えたんだ……。
正お兄ちゃんの肩にいる赤い塊、この世のモノではない存在。
「おっちゃん。ボクあれが怖いよ……」
「怖くて当たり前だ。あれは……死神だからな」
あれが死神……。