これが俺の体験
ボクは巻物を右手に取り、閉じている紐を引っ張った。
ちょっと強かったのか、巻物はベッドから落ちてしまった。
「こ、これは……!?」
巻物にはよく読めないが、達筆な筆書きで、内容が書かれていた。
間違いなく、おっちゃん本人が書いたんだと解るぐらい。
その内容は凄まじいものだ。
ボクとおっちゃんが持つ力は気、別名、オーラと呼ばれる、アニメでも有名なものだった。
しかし、この気はアニメのような派手さはない。
しかも恐るべきことに、気を操れるようになるには気の遠くなる年月が必要なんだ。
巻物に書かれていたのは、その記録という、長い歴史を感じるものだった。
だけど、ボクはそんなに待てない!
もし巻物が本当だとしたら──お兄ちゃんは救えない。
開くべきじゃなかった。
こんな厳しい記録なんて──拳法、大気、霊感、体質変化。
他にもあるけど、どれも難しい。
最後に書かれていたのは、オーラを使うには並大抵では使えない。
自分を高めてこそ、その威力は現れる。
そして純粋な感情がなければ、支配されて身を滅ぼす禁忌と書かれていた。
「………………」
あり得ない!あり得ない!
こんなの嘘だ!
大体──ボクは修業なんて知らないのに……。