これが俺の体験
「その巻物はお前には早いんだ。成長期にもならないお前が力を手にすれば、何年も成長は止まるのだぞ!?」
「でも、お兄ちゃんが……」
「ばか野郎!いいか?お前にはまだ身体が出来ていないんだ!そんな状態で力を使えば、お前が死ぬ!」
「だ、だけど……」
でもお兄ちゃんが死ぬんだ。
だったらボクは助けたい。
自分のことなんかどうでもいいんだ。
「巻物を渡せ!」
ボクは巻物に目を向けるおっちゃんの視線を追う。
それは意外な場所を見ていた。
巻物の一番端──そこに書かれた言葉を。
ボクは思わず読んでしまった。
「ナムアミダソワカ」
「なっ───?」
言葉を唱えるとボクの頭が痛み出した。
なに?なんなのこれは?
巻物が転がり、おっちゃんの声が遠くなった。