ー親愛―




重い沈黙




だけど 息苦しくなくて




抱き締めた背中は 儚くて




今にもなにかがボロボロと剥れていく気がするぐらいで




なのに




触れた場所から 温かい何かが込み上げてくる




得体のしれない複雑な気持ち




“私…三上さんを守りたいよ…”




小刻みに震えていた背中が大きく揺れる




“香坂さん、それは男の言う台詞だよ”




“そ、そうなの?”



“そうだよ…”




とても優しい眼差しで私を見る




いつもの元気オーラに戻る三上さん




“三上さんは笑ってなきゃ、ね?”




コアラみたいに私は三上さんの背中を抱いたまま話す




“香坂さんが、いつも俺に元気をくれてるんだ…”




照れる素振りもなく なんのためらいもなくこんな事を言える三上さんが好き………だ




“三上さん、《八重》って呼んで…”




“八重”




“三上さん…私と付き合ってもらえますか?”




“もちろんだよ。……だけど、本当に俺でイイの?”




“もちろんだよ”








今の私 ちゃんと笑えてるよね…………?




これで良かったんだよね…………?
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