ー親愛―




私の名前以外 彼は何も言わなかった




そして私の左手を取り 裾を捲る




露わになった私の左腕




《しんじ》と刻まれた




その名前の消えない腕に 三上さんは吸い付くようにkissをする




“俺が…俺が忘れさせてやるから…”








彼はいつ この名前がこの腕に刻まれている事に気付いていたのだろう




少し長めの袖の服ばかりを着て 絶対に誰にも気付かれてないと思っていたのに







彼は その名前が見えなくなるぐらい、キツく深く吸い付く




ただ私は 私の左腕に吸い付く三上さんが愛しくて ぼーっとして見つめていた

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