ー親愛―
満月の夜
刺青男との出会いから 一週間が経っていた
相変わらず私の頭の中の半数、いや。8割ぐらいは あの男の事でいっぱいだった
なんで 十字架を背負ったキリスト…?
あの人は たぶん…あの施設の職員だよね…?
私に口止めするって事は あの施設の人は皆 あの刺青の事知らないんだよね?
あの人『ラクガキ』って言ってたけど… 後悔してるのかな?
私の頭の中は 先生の講義なんか、そっちのけで あの刺青男の事で、いっぱいいっぱいだった
“香坂さ~ん!”また、あの甲高い声で嬉しそうに私の名前を呼ぶ
“香坂さんにビッグニュースがあるのよ”
まるで自分の事のように とても喜んで嬉しそうに楽しそうに話す
“ここは、なんだから…私の部屋に行きましょ。”
40才も過ぎてるだろうに、子どもみたいに ルンルン気分で 先生の部屋へと向う
資料室と呼ばれる いわゆる図書室の2階に先生達の部屋が各それぞれにあり この先生の部屋は1番奥の よく陽があたる部屋だった
“どうぞ、入って。”
鍵を開け ドアを開き、私を先に通す
陽があたり過ぎぐらい よくあたる部屋で 、もう冬が近付いているというのに 部屋はなんとも言えないほど どんよりとした空気が漂い 小さな塵が太陽の光に反射して まるで雪のように見えた