ー親愛―
十字架
熱い口づけの後
沙耶との待ち合わせ場所に着く
沙耶の彼氏はとても気さくな人で背が高く美容師さん
沙耶は より一層綺麗になっていて彼氏が切ってくれたというショートの髪を自慢気に見せてくれた
人目をはばからず硬く結ばれる手
幸せそうな2人を見ていると こっちまで幸せになってくる
いつか私達もこんな風に誰かを幸せな気分にさせられるカップルになれるだろうか
さり気なく手を繋いでくる大和
大和と沙耶の彼氏の大輔さんは 意気投合し四人でバッティングセンターに行ったり 映画を観たりした後 夕ご飯を食べに行く事にした
夕ご飯を食べに入ったイタリアンレストランの化粧室
“優しそうな彼やんな?っても、ウチの大輔には負けそうやけど”
と、お酒の入った ほんのりピンク色に染まった顔で言う沙耶
“うん。とっても優しいよ”
“多田さんの事は…?”
“忘れるように努力するって大和に言ってる”
“そうなん?大和さんは、なんて?”
“俺が忘れさせてやるって、言ってくれてる”
“心の広い人やなぁ。”
“うん。だけど、それがかえってね…………苦痛や罪悪感だったりするんだ。”
“でも、しょうがないね。八重が選んだ道なんやから。…選んだからには、大和さんの事たくさん好きにならなきゃ…ね?”
“うん”
鏡越しに目を合わせ
“八重。その眼鏡似合ってるよ。前はコンタクトの方がイイと思ったけど、その眼鏡が合うよ。大和さんの色に染まってるんだね”
大和の色に染まる
もっともっと染まりたい。そして少しでも早く、多田主任の事を忘れたい