ー親愛―




“香坂さん。話しがあるんだけど…”




ステーションにやって来たシンが人目も気にせず、私を呼ぶ




ステーションから出て 太陽の光がサンサンと照らす渡り廊下




三歩程前を歩くシンの身体は 少し見ない間に引き締まった、というより 痩せたように感じる




それに なんだか……………………どこか遠くに行ってしまう気がした









“…………ねえ?”


まるで聞こえていないみたいに




彼は振り返らない






シンが私を呼んだのは 面談室




“まぁ。入って…”




促されるまま入ると、シンはドアを閉める




ドアを閉めると同時に シンは私の顔を両手で挟み 熱いKissをする




そのKissで シンが本当にどこか遠くに行ってしまう事を確信した




“シン”



“シン”



“シン”



何度 名前を呼んだだろう。




シンの濃厚なKissの合間に 何度も何度も名前を呼ぶ



何故だか 涙が溢れる




“…お願い…。私を置いて…どこにも行かないで”




シンは一言も言わず たくさんたくさんKissをした



唇 首筋 鎖骨 シンの名前の入った肩



シンがKissした全ての場所が熱くて 優しくて…




こんなにシンに愛されてる私の身体が愛おしかった




だけど、




だけど、なんだかシンが私の身体に何かを刻んでいる気がして…。もう、私の所に帰って来てくれない気がして




“シン…………。お願い。やめて……”


辛かった




シンがなにも話してくれないから 余計に



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