ー親愛―

―命―





それから 三ヶ月後




シンはマリアさんがいる国に マリアさんを探しに旅立つ事になった




三ヶ月の間 私達の生活は目まぐるしいものだった




けど、何一つ 苦には思わなかった




私は大和と別れた――大和は すんなりと別れる事を承諾した。それも、そのはずで 私のお腹の中にシンの赤ちゃんが宿ったのだ



その事は シンを驚かせ、喜ばせるために大和と私だけの秘密だった




そして、シンは私達が一緒に暮らすアパートを探してくれ 私の親にも会って一緒に暮らすと、話しをしてくれた




家電や家具を二人で買い揃えたりもした




なにもかもが 本当に目まぐるしくて、三ヶ月という短い時間は あっという間に過ぎていた







“八重。愛してる”



シンが日本を旅立つ前日 私達は二人で暮らすアパートで一緒に過ごした



その夜 シンは私を抱きながら、何度も何度も『愛してる』と囁いた




シンは今まで 『愛してる』とは一度も言わなかった




どうして こんな夜に…




シンを行かせたくない…よ




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