ー親愛―
新聞配達のバイクの音
車のエンジン音
結局 私は寝付けなかった
一晩中 シンの背中にKissしたり、シンに寄り添ったり、指を絡めたりして、シンの寝顔を眺めていた
♪ピピピ ♪ピピピ
静かな部屋に 目覚まし時計の音が鳴り響く
刻々と シンとの別れてが近づく
『これは別れじゃない。始まりなんだ』
この三ヶ月 何度も自分に言い聞かせてきた
…行かせたくない
鳴り響く目覚まし時計を消してみる
“フッ。勝手に消すなよ。”
いつも寝起きの悪いシンが 目覚め良く起きる
“おはよ”
上半身を起こし、私の頭にKissする
“………珍しく目覚めがイイね?マリアさんに会えるのが、そんなに嬉しい?”
喧嘩を売るつもりなんてなかったんだ
頭では分かってる。マリアさんに会いに行くのは、シンの心の整理のため………私達の始まりの一歩のため
なのに なんで、こんな事言ったんだろ
“………………”
シンは何も言わなかった
ただ シンの背中がとても 淋しそうで…………自分の言った事に後悔する
“悪りぃ。”
シンの言い方を真似して言うと シンは振り向き、脱ぎ捨ててあるズボンのポケットから財布を取り出す
“ホント、お前は面白いヤツだな”
シンは私の左手をとり、薬指に指輪をはめる
“えっ。これって…?”
“お守りだ。俺がいない間、浮気すんなよ”
“しないよ。私には見張りがいるからね”
“三上か? ……今度は俺の指にはめてよ”
もうひとつ指輪を取り出し 左手を差し出す
“違うよ………大和よりもっともっと強力な見張りが、ここにいるよ”
シンの左手の薬指に指輪をはめながら お腹を指さす