ー親愛―




シンの葬儀は 翌日おこなわれた




産後という事もあったが 助産師さんと先生に相談して シンの葬儀に行かせてもらう事になった



葬儀の段取り等は 全部施設長と大和が取り仕切ってくれていた




“施設長。大和。何もかもありがとうございます。”




“香坂さん………大丈夫?”



“大丈夫です。シンに赤ちゃんの写真見せたくて…”



“そうか……。アイツ、喜ぶよ……………三上。ここはイイから、香坂さんのそばにいてあげてくれ…”


“はい”



目を真っ赤にした大和が さりげなく私を葬儀場へと 連れて行ってくれた








シンは…… シンは真っ白な包帯と真っ白な衣をまとい 静かに横になっていた


私はシンの横に座り 携帯に写った私達の赤ちゃんを見せる

“シン。私達の赤ちゃん…だよ。目も鼻も口も、なにもかもシンにそっくりだよ………ねぇ。シン?”



“もう……イイだろ八重?お前も疲れがでると大変だから、少し横になれ…”


“ううん。私はイイの…大和こそ……ごめんね。いろいろ大変な事してもらって…。じゃあ。私、施設長の所に行って来るね”






“八重…。お前、大丈夫か?”



“……………うん”


溢れてきそうな涙を ぐっと堪える




シン………私 泣かないよ


< 159 / 166 >

この作品をシェア

pagetop