ー親愛―



シンの葬儀に参列してくれた人達は ホームの職員さん達と……………………………………………… 外国人の女性だった



一目で その女性がマリアさんだと分かった



通訳は全部施設長がしてくれた



遠い国から ニュースを見てやって来てくれたのだ



マリアさんは 私に一枚の写真を差し出した


その写真には優しく温かいシンの笑顔が写っていた。


マリアさんの子供達と肩を組み 優しい顔をしている



もう泣かないって誓ったのに…

私はその場に泣き崩れてしまった




あの頃の…………私が知っているシンが そこにいる



“シン…帰って来て”


とめどもなく溢れる涙






だけど、どんなに泣いてもシンは もう帰って来ない




“しんじが、いままでで、あったおんなのひとであなたいちばん なんどもいった”

片言の日本語でマリアさんが私の手を握り 優しく微笑む

“あなた あかちゃんいる。しんじとのだいじなあかちゃん。あなたがんばる”



マリアさんの手はとても温かく 私を勇気づけてくれた




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