ー親愛―




もう一度 今度は軽くため息をつく




私の生きてきた20年 何度ため息をついただろう




沙耶曰く“ため息ひとつつくと 幸せがひとつ消えていく”らしい…




そんな子どもだましな事を 本気で言う沙耶が可愛いかった




もし それが本当なら… 私は幾つの幸せを失ってきたのだろう




そんな事を考えながら 背伸びをする




秋の夕陽が眩し過ぎる…




…刺青男




あの身体が私の頭の中をかき乱した




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