ー親愛―
“な、なんでぇ?”
独り 車の中で叫ぶ
心臓の鼓動が 次第に早くなるのを感じながら 先客者の直ぐ後ろに車を付ける
少し歩道に出てしまうけど。そんなのお構いなし
車から降りる
…………。
車から降りたものの なんだか躊躇してしまう
せっかく来たんだから…
躊躇する気持ちを 払いのけ、砂浜へと向う
ザク ザク ザク
アスファルトの上の細かい粒子の砂が 踏む度に音を立てる
波の音が近くなってくると、心臓の鼓動も早くなる
この岩の隙間の向こうが 私の秘密基地
だけど…行こうか 行かまいか戸惑ってしまう
クラッとする
微かに煙草の匂いがする
せっかくの磯臭い 潮の薫りをかき消してしまう