ー親愛―
沙耶は 私の車の助手席でその男について 事細かに説明した
その顔は 言い方は古いけど…『恋する乙女』だった
少し顔を赤くして話す横顔が 妙に可愛くて女の私も惚れちゃいそうなぐらいだった
沙耶のお気に入りの男がよくやって来るというファミレスは 学校から車で15分ぐらいの所にあった
“彼な。大抵このぐらいの時間に来るんよ。”
そう言って携帯の時計を見ると 18時を過ぎた頃だった
“八重、なんか飲む?”
“じゃあ。…アイスコーヒー”
“くすっ。冬なのにアイスコーヒーって、八重らしい…”
私らしい…って?
沙耶だから こんなにハッキリ言っても許せる
誰かと一緒にどこかで何かをするといった事が無い私には 何を話して言いのか分からなくて 居心地が悪くて注文もないのにメニューばかりを眺めていた
そんな私に構う事なく 沙耶は男について永遠と話した