ー親愛―




幼い頃の記憶と 沙耶に対する罪悪感に苛まれていた私の様子に気付いた沙耶は“八重は、いつも独りで何もかも抱え込んでばっかりやな。たまには、あたしに話してよ。親友でしょ?”と言った




涙が溢れた



喉の奥が締め付けられるほど苦しくて



沙耶を出し抜いた私が どんなに愚かで馬鹿な人間なのかと、後悔し 何もかも沙耶に話した









もう、それは涙で何を言っているのか分からないぐらい酷い始末で………


なのに、沙耶は全部 “うんうん”と優しく頷いて聞いてくれた


それは まるで泣きじゃくる子どもをあやす母親のようだった






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