ー親愛―




多田慎二との出会い

幼い頃の記憶


沙耶の好きな人と 私の好きだった人が同じ事


それが分かっていて 出し抜いた事


多田慎二の言った言葉



何もかも順序が逆になったりして 何を話したかさえ覚えていない




それなのに




“良く話してくれたんね。八重が話してくれて嬉しいわ。あたし、八重と同じ人を好きになって嬉しい…。やけん、もう出し抜いたりせぇへんといてな。これからは、親友やからな…”と、相変わらずの京都訛りの話し方




私はどれだけ沙耶にごめんね。と呟いただろう




沙耶の服は肩や胸の辺りが 私の涙と鼻水でぐっしょりになっていて




“もう、せっかく買ったばかりの服が台無しやわ”と笑って言った




私は何もかもぶちまけて スッキリして、泣き疲れて いつの間にか沙耶の膝で寝ていた




目が覚めると 沙耶もうたた寝をしていて、その寝顔を見ると安心して また眠りについた




こんなにグッスリ眠ったのは何日ぶりだろう




2人同時に目が覚めて 気が付くと夕方になっていて 丸1日、講義に出ずにサボったのだ




ふたりで顔を見合わせて笑った








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