ー親愛―
それから私達は 卒業までの僅かな時をほとんど毎日の様に遊んだ
講義をきちんと済ました後 私の車に乗り夜まで遊びほうけていた
私は変わった
真っ黒だった長い髪は 少し栗色に染め
何の飾り気のない眼鏡は コンタクトに変えた
性格も以前よりは明るくなり、少しだけ社交的にもなった
沙耶の友達はいつしか私の友達になっていて ほんの僅かな時間だけど 学生らしい生活を送った
卒業式の日
沙耶は目に涙をいっぱい溜めて“卒業しても、親友やから…。”と、一言だけ言った
沙耶は大好きな服飾関係の仕事に就いた。
私達はそれぞれ違う道を歩くけど いつまでも変わらない親友だ
入社式までの間 何度も会い 遊びに行った。沙耶には彼氏が出来ていて、彼氏よりも私と遊ぶ事を優先してくれていた
“八重…。誰か好きな人は出来へんの?”
会う度に沙耶は 言う
…あれから私は男が好きになれなかった