ー親愛―
“あそこのカーブ曲がったら、私のお気に入りの場所だから…”
“楽しみやわ。”
ニコニコとココアをズルズルと音を鳴らしながら吸い尽くす沙耶
“……えっ!?”
“どしたん?八重?”
“ご、ごめん。今日はやっぱり違う所にしよ?”
“どしたん?”
“…あのさ……ほら、あそこに停まってる車、…………多田主任の車…”
“えっ。そうなん?なんで分かるん?”
“だって、あんな古い車、あの人ぐらいしか…………。”
“ふーん。八重すごいねぇ。車見ただけで分かるんだ?”
少し小悪魔みたいに はにかむ沙耶
“イイじゃん。行って見たら……”
“でも……ほら…気まずいでしょ?”
“イイじゃん イイじゃん。”
あまりにも沙耶が嬉しそうに言うから…私は車を停めてしまう
“行こっ。”
車を停めたものの 降りるのをためらっていると 沙耶が私の手を 握って言う
“勇気出さないと… 八重、多田さんの事本当はまだ好きなんでしょ?”
“…………。”
何も言えなかった
……もしかしたら…… たぶん それは当たっていたから……