ー親愛―




まるで血の気が無くなったような だけど身体の中が熱く…どうしようもない




2人で砂浜に歩いて行くけど 私の足は思うように進まなくて……




そんな私の手をそっと握り締めた沙耶の手は とても温かく、繋いだ所から何かが溢れて来る気がした




“大丈夫よ…”




優しく微笑んだ沙耶の顔が 短大の先生の顔と被る




“……うん……”




ジャリジャリ




アスファルトの上の砂が音を立て、波の音が近付くにつれ ゆっくりと落ち着きを取り戻す




“ここ?”




この岩の向こう側には きっと多田主任がいる… 沙耶は大きな岩を指差す




“うん…”




私の手を握る沙耶の手がギュッと強くなる




フーッ




2人で申し合わせたワケでもないのに深く深呼吸をするタイミングが同じになる




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