ー親愛―
それは 突然の出来事
沙耶とふたりで手を繋いで 一歩踏み出す
“ねぇ。kissしてよ”
甘ったるい 女の人の声
その声は小さく囁く声なのに 波の音さえもかき消してしまう
私 沙耶の手を思いっきり引っ張って
たぶん多田主任がいるだろ…向こう側に行く
“止めな…って”
って言う沙耶の言葉も聞かない
……………………………………………………………やっぱり…………見るんじゃなかった……………
そこには 多田主任が長い髪の女の人の頭を抱き抱えるようにしてkissする姿
“…八重…?”
頬にとても温かいものが流れ徐々に冷たくなっていく
私は 沙耶に手を引かれて車まで戻る
“八重?大丈夫?”
温かいのに冷たい滴は とどまる事を知らない