ー親愛―
バサッと着ていたシャツを脱ぐ
“あんたの左手…泣いてるで…”
とっさに左手を見ると巻いていたはずの包帯が取れていて “しんじ”の名前が浮き彫りになっていた
多田主任の刺青を見ながら おもわず赤面する
“…あんたの好きなヤツは三上じゃなかったのか?…”
その辺にあったタオルを持ち バスルームへと向かう
“ち、違う!”
“たぶん…三上はあんたの事……好きやど”
そう残してバスルームに入る
えっ?…どういう……事?
何秒かしてシャワーが流れる音がする
私は脱ぎ捨てられた多田主任のシャツを拾い 抱き締める
部屋にはただ 石鹸の香りとシャワーの音が虚しく漂う
私は
私は どうしてイイのか分からず
ただ呆然としていた