ー親愛―




“送って行くわ。どこか、その辺のコンビニでイイか?…で、今日あんたは休みって事にしといたから。”




“イイです。ひとりで歩いて帰ります!”



“たいそうな度胸じゃん。あんた、ここが何処か分かってるんだろ?”




フッと 口の端があがる




!? 忘れてた ここがLoveホテルだという事




“………………。”



うつむく私の腕を取り 黙ったまま ドアの付近にある精算機で精算を済ませる




“あ、私。半分出します”

って言いながらも自分のカバンが多田主任の腕の中にあって、お金も出し損ねる




“女に金払わせる程 墜ちてないから…”




何やってるんだろ。



自分の不甲斐なさに 呆れてしまう




だから 私はこの人の《女》になれないんだ…






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