ー親愛―




“あの日は~。ともかく香坂さんのテンションの高さにみんな驚いてて…最近は新人歓迎会とかやってても、盛り上がりに欠けるってか、少し飽きてたんだけど、今回は最高に楽しかったよ。”



“最後の方は香坂さん、男も女も関係なくみーんなの腕を組んで、楽しそうにケラケラ笑ってたよ。で、笑ってたかと思うとさぁ。急にすっごく冷静になって『私、ここで働けて幸せです』って言った後、グーグー寝出すし。”



“三上と付き合ってるって噂になってるけど、本当はウソなんだろ?…俺の憶測だけど、香坂さん。多田に惚れてるだろ?”



“この仕事やってると、イヤでも人の性格とか 考えてる事が分かるんだよ。だから、たぶん…そうかなぁ。と、思ってさ。”



“三上は、たぶん香坂さんの事 気に入ってるよ。男と女としてね。香坂さんが寝入った時、他の職員に触らせないようにどうにかして抱き抱えようとしたけど、三上も楽しかったせいか酔ってて。2人してダウンだし。三上は俺がなんとか連れて帰ったけど、香坂さんは多田が抱きかかえて連れて帰ったってワケ”


“どうせ、ラブホでも泊まったんでしょう?あいつ、帰る所って特にないし……。次の日、『香坂さん、二日酔いみたいだから、体調悪い事にして休みにしといてくれ』って、あいつから電話があったからさ。そんな所じゃないかなと、思ってさ”



“多田…とは、学生の時からの親友でケンカも派手にやり合った事もあったよ…あいつ、淋しがり屋だから。『女をSEXの道具としか見てない』って言い張るけど、本当は好きな女は抱けないし…。だから……。だから、本当、イイ奴だから…。”



施設長は 独り言のよう楽しそうに私にたくさん話した



私の中にあった施設長の《何を考えているのか分からなさそうだし、怖そう》っていう イメージを覆した


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