キンモクセイ
キンモクセイの香りだけが頼りだった。

その匂いのある方へ。

僕は吸い寄せられるように歩いて行く。



道行く人が変な顔をして僕を見る。

そりゃ、そうだろう。

パジャマ姿で外を歩いているのだから。



でも、そんな事、どうでも良かった。

莉紗にどうしても見せたかったんだ。

キンモクセイの花を。
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