ハントウメイ



足音がとまった彼の方を振り返ろうとした時


「…玲」


彼の私の名前を呼ぶ声が聞こえた。そのまま、振り返ると「おはよう」そう言った彼の瞳と目が合う。



名前……覚えていてくれたんだね。


「…うん、………うん、おはよ。蓮」

おはようなんて何か照れる。

すると、「名前、覚えてたんだ」
彼は言った。



当たり前でしょ、

私が忘れるわけない。
ずっと頭から離れなかったんだから。



「…うん、まぁね。そっちこそ忘れてなかったんだ」


「あぁ、まぁね」

そう言って彼は笑って
「つか、忘れるわけないじゃん」
そう言った。



何を言ってるの?

「…そんなの忘れるかもしれないじゃん」

「忘れないって」


………そんな


「…当たり前みたいな言い方するんだね」

「当たり前だからね」

……。


「…そう。」






君はやっぱり不思議。



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