ハントウメイ



「…玲」


私の顔を見ながら彼はそうはいて

腕をのばす。


彼の腕は私の顔へゆっくりのびる


そのまま頬をさわるかと思えば

避けるように触れずに



今度はそのまま私の髪に触れた。







「これ染めてるの?」

私の長くのびた栗色の髪を彼は触りながら聞いてくる


「………。」


ドキドキする。

なんなの。

止まってよ。



「……玲?」


黙り込む私に彼は優しく名前を呼ぶ。




「……こ、れね、染めてないよっ」



「そうなんだ」


そう言って私の髪から手を離す。
そして「綺麗だね」なんて言って彼が微笑むもんだから、恥ずかしい気持ちになって視線を反らした。


「……そう。」


「柔らかいくて凄い優しい色してる。」

「………。」



……蓮?



「しかも、何かさ玲って細いし白いしヒョロヒョロしてて」



「なっなに言ってんの?馬鹿にしてる?」


……蓮?



「…なんか…」






…………れ、ん?




「風に吹かれたら一瞬で消えちゃいそう。」



蓮。



「急に消えそうなんだよ」
彼はそうはいて私から視線を反らす



蓮、なんでそんな悲しい瞳をしているの?



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