ハントウメイ





私は外を見ながら笑った。

蓮に、



気付かれないように。













「…鍵、大事にする。」

そう言う私に「良かった。」そう彼は言って微笑む。










「たまにここに来ていい?」



「いいもなにも、それは玲の鍵。俺に聞く必要ないよ。」




「…うん」











それから柔らかい時間が流れた。



昼休みのチャイムが鳴る。














それが合図かのように二人が顔を合わせ、互いの瞳を写す。






「時間だね。」


そう切り出したのは彼で



「うん」




「戻ろ?」




「うん」








そうして彼と一緒に屋上をでる。










鍵を閉めた彼が後ろに立ってる私の方を振り返る。



「今日は玲から戻りな?」






あぁ、終わってしまう。


彼との時間。





「わかった…じゃあね」


まだ一緒にいたい。

だけど…駄目。




少しだけためらったけど


すぐに階段をおりようとする。







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