ばうんてぃ☆はうんど・vol.3~ほーんてっどほすぴたる《改訂版》
 だから、表情や仕草で読み取る。人はブラフをかけるとき、そいつ特有のクセを出すのがほとんどだ。そのクセを、ゲームの中で探していく。
「では、2回目のベットをどうぞ」
「わしゃコールじゃ」
 銀髪じいさんがコールしたとこで、モヒートと葉巻が届いた。モヒートを一口飲み、ダヴィドフに火をつけ、
「レイズ。10,000だ」
 俺は10,000ドルのチップを、もう1枚テーブルに乗せた。
「よろしいのか? 立ち居振る舞いを見る限り、ポーカーを知らんわけではあるまい?」
 銀髪の言葉に、
「いやー、あんたらほどは知らねえさ。言ったろ? 勢いだけだって」
「なにを言うか。なかなかの曲者じゃな、お若いの」
 金髪が笑う。
「なら、その心意気に答えよう。コールじゃ」
「わしも」
 二人とも10,000ずつ、計30,000ドルずつ賭ける。合計90,000ドル。このゲームで勝ったやつが、この賭け金を総取りする。
「では、オープンして下さい」
 ディーラーに促され、3人は一斉にカードを開ける。
「ストークス様、10とキングのツーペア。ファング様、8とジャックのツーペア。トリビアーニ様、9のスリーカード。トリビアーニ様の勝利です」
 ディーラーが金髪のトリビアーニじいさんにチップを渡す。
「すまんな、お若いの。ワンゲーム目は、年寄りの勝ちのようじゃ」
「やっぱダメか。レイズすりゃ、ドロップしてくれるかと思ったんだが。無謀だったな」
「よう言うわ。わかっておったくせに」
 銀髪のストークスじいさんが、俺に視線を投げる。
「そりゃ買いかぶりすぎだぜ、ミスタ・ストークス。俺は駆け引きもなにもわかっちゃいねえ、若造だ」
 言って、モヒートを飲み干す。
「言いよるわ、全く。あんた気に入ったぞ。1杯おごらせてくれ。同じので構わんか?」
「お、良いのかい? 悪いな」
「気にするな。老い先短い年寄りの戯れに、付き合ってくれとる礼じゃ」
「んじゃ、遠慮なく」
 ほどなくして、モヒートが運ばれてきた。
「ジル、あまり飲みすぎるなよ。判断力が鈍る」
 ディルクが小声でささやく。
「心配すんな。そもそもアルコール抜きのポーカーなんか、やったことねえよ」
「では、次のゲームを始めます」
 ディーラーがカードを配り始める。
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