ばうんてぃ☆はうんど・vol.3~ほーんてっどほすぴたる《改訂版》
「特殊部隊か。どうりで、勇ましいわけだ」
「そんな、褒められたもんじゃねえよ。最後は、キレて上官ぶん殴って不名誉除隊だ」
『がっははははは!!』
 ずっと話を聞いていたトリビアーニじいさんも、膝を叩きながら一緒になって大笑い。
「いやーお前さん、ホントに面白いの」
「そうか? 楽しんでくれて、光栄だぜ」
「くくっ。では、そろそろ勝負といこうか」
 トリビアーニじいさんが、笑いをこらえながらカードを持ち直す。
「そうだな。やろうか」
「では、カードを開けてください」
 3人が同時にカードを開く。
「ファング様、キングと3のツーペア。ストークス様、10のスリーカード。トリビアーニ様、5とジャックのフルハウス。トリビアーニ様の勝利です」
「くそっ、また負けた。今のは自信あったんじゃがのお……」
「すまんの、お二方。どうやら今夜のツキは、わしに味方しておるようじゃ」
 笑顔で120,000ドルを受け取るトリビアーニじいさん。
「ジル」
 またディルクが小声で話しかけてきた。
「なんだ?」
「予算は大丈夫なのか?」
 こいつらしい心配事だ。
「問題ねえよ。ちゃんと計算してっから」
「なら良いが……」
「後ろのお方。お前さんは参加せんのか?」
 トリビアーニじいさんが、ディルクを誘う。
「いや、僕は――」
「こいつはギャンブルに弱くてね。ただ、興味はあるから、ゲームを見ながら勉強したいらしい」
「そうか。まあ、無理には誘わんが」
「お心遣い、感謝します」
 相変わらず、バカ丁寧なやつだ。
「ずいぶん礼儀正しい若者だの。けどいくらハイリミットカジノとはいえ、そんな固くなることはないぞ? ここにはわしらしかおらんのだし」
「ありがとうございます」
「では、お前さんにはわしが1杯おごろう。なにが良いかな?」
「いえ、お気持ちだけで……」
「まあ、そう言うな。ここで会ったのもなにかの縁だ。遠慮なく言ってくれ」
「そうじゃぞ。このじいさん、さっきから210,000ドルも勝っとる」
 ストークスじいさんの言葉に3人で爆笑。
「わかりました。では、同じものを」
「ついでにわしには、マルガリータをくれ」
「わしも」
< 19 / 50 >

この作品をシェア

pagetop