ばうんてぃ☆はうんど・vol.3~ほーんてっどほすぴたる《改訂版》
「クルーザーさえ奪って海路で逃げれば、なんとか逃げ切れると思ったんだろ。お前くらいの悪党になれば、船の名前聞いただけで俺らの正体わかったはずだ。うちの船、有名だからな」
「あ、ああ……」
「残念だったな。どうやら今夜のツキは、俺達に味方したようだ。大人しく俺達の生活費になれ」
「ほ、他に……言い方は……ない……のか……がくっ」
 わざわざ口に出してから気絶するとは、なかなか付き合いの良いやつだ。
 気絶したままのカッティーニを縛り上げ、ディーラーも連れてタクシーでICPOラスベガス支部に運ぶ。賞金はジャスト1000万円。もちろん、賭けで勝ったカッティーニのチップも全ていただいた。
 
「なんで金持ちってのは、やたらベラージオのスイートに泊まるやつが多いんだ?」
 ベラージオ最上階のVIPエリアの廊下を歩きながら、俺は疑問を口にする。
「それは偏見だと思うぞ? それに最近じゃ、ウィンに泊まる者も多いらしい」
「結局、どっちもスティーヴ・ウィンのホテルじゃねえか。そういや、俺らが泊まってるTIもスティーヴ・ウィンのホテルだったな」
「そうだな」
「同じウィンのホテルでも、金のかかり方がずいぶん違うな」
「ホテルのランクが違うんだ。仕方あるまい」
「今回死ぬほど儲けたから、ホテル変えようかな?」
「ならあたし、プラネット・ハリウッドが良いんだけどー」
 わざわざ手挙げて提案してきやがる。
「またかよ。ニューヨークでも行ったじゃねえか」
「あれはレストラン。こっちのはホテルのプラネット・ハリウッド」
「どうせ似たような造りなんだろ?」
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