ばうんてぃ☆はうんど・vol.3~ほーんてっどほすぴたる《改訂版》
 あかりのカッコを見て、あからさまに戸惑ってやがる。当たり前だが。
「てかコスはエクソシストだけど、中身は適合者でもなんでもないから。ちょー天才ハッカーの美少女あかりちゃんなんで、よろー♪」
 変なピースサイン決めて自己紹介(らしきこと)をする。
「あ、ああ、そうか。それは……えーっと、ジャパニーズあいさつなのかな?」
 あかりと同じポーズをしてみせる。
「じいちゃんちげーし。腕はこう。んで指はこうだし」
「こ、こうか?」
「そぉそぉ。んで、ウインクして、顔の角度はこうで――」
『よろー♪』
「シューガクリョコーの写真か!!」
 ばんっ、とテーブル叩き立ち上がり、変なポーズ決めてるじいさんとジョシコーセーに人差し指を突き付ける。
「もしくはプリクラか!! じいさん、ジャパニーズポップカルチャーに浸ってんじゃねえ!」
「いや、最近ジャパニーズスタイルが流行りだし……」
「てかガイジンのあんたが、なんで修学旅行とか知ってんの?」
「ちっちぇーことは気にすんな」
「古っ!」
 俺はソファに座り直す。
「んで? 俺らになんの用があるんだ? ミスタ・ストークス」
「お、おお、そうじゃった。うっかり本題を忘れるとこじゃった」
 普通本題は忘れないものだろう……とかディルクの呟きが聞こえたが、聞こえないフリをしておいた。
「実はお前さんらの腕を見込んで、一つ頼みたい仕事があったんじゃが……ま、なにか飲みながら話すとしようか。シャンパンで良いかな?」
 部屋の隅にいたバトラーが、じいさんの横にやってきた。
「ヴーヴクリコあるか?」
「あるよ。イエローラベルで良いかな?」
「ああ、頼む」
「ミスタ・フューラーも?」
「構いません」
「お嬢ちゃんはどうするかね? まだ酒はいかん年じゃろ?」
「コーラ。フリーのやつ」
「わかった。――おい、今のを頼む」
「かしこまりました」
 バトラーが電話をかけ、ルームサービスをオーダーする。もしかしてこのバトラー、電話するためだけに置いてんのか……?
「でじゃ。お前さんらにやってもらいたい仕事なんじゃが」
「ああ」
「実は最近、ホテル事業に乗り出そうと思い立っての。ある日突然」
「そういうのって、ある日突然思い立つもんなのか……?」
「そういうもんなのじゃ」
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