ばうんてぃ☆はうんど・vol.3~ほーんてっどほすぴたる《改訂版》
「そっか。なら仕方ねえな」
「うむ。で、どこか良い土地はないものかと探しておったら、ダウンタウンの端の方にちょうど良い物件を見つけての」
「良かったじゃねえか」
「それは良かったんじゃが、ちょっと問題があるんじゃ」
「問題?」
 やっとまともな話になってきた。
「その物件というのが、15年前に閉鎖になった病院なんじゃが、長らく放置されとったせいで、ストリートギャングの根城になってしまってての」
「ほう」
 ちょうどそこへ、シャンパンとダイエット・コーラが届いた。
「はええな」
「ホテルは金持ちに気を使うからの」
 バトラーがあかりの前にコーラを置き、俺たちにはシャンパンをついでくれた。グラスも上等なもんだ。
 一口、喉に流し込む。うまい。さすがにそこらの安物とは比べ物にならねえ。
「でじゃ。えーっと、どこまで話しとったかの?」
「『よろー♪』のポーズから」
「おお、そうじゃった。確か指の形がこうで……」
「ちげーって。中指はこうだってば」
「ちげーだろ!」
 シャンパンに気を取られて、ツッコむタイミングが遅れた。
「ぎゃはは! このじーちゃん、ちょーウケるー!」
「おおう。こりゃやられたわ」
「『やられたわ』じゃねえ! ストリートギャングがどうしたんだよ?!」
 いつも通り、ディルクは眉間をおさえて頭を振ってやがる。
「そうそう。ギャングの根城になっておったんじゃよ」
「それは聞いた。で?」
 いらいらしたせいで、せっかくのヴーヴクリコの味が台無しだ。
「で、じゃ。お前さんらに、そのギャングどもを殲滅してもらいたいんじゃよ」
「殲滅って……。ぶっそうな言い方だな」
「いや、そりゃもう、手加減なしで全力でやっちゃって良いから」
 目がマジだ、このじいさん。
「んなもん、サツにやらせりゃ良いじゃねえか。不法侵入だろ?」
 ヴーヴクリコを一口。
「わしゃ警察は好かん。あのフニャチ○のオ○マどもめ。税金ドロボーじゃ」
「ひでえ言いようだな……」
「とにかく警察は嫌なんじゃ。だからお前さんらに頼んどる。さっきのカジノでの一件、かなりの腕と見た」
「ま、そう言われて悪い気はしねえけど」
 シャンパンを一気に飲み干す。
「じーちゃん、あたしお腹すいた」
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