ばうんてぃ☆はうんど・vol.3~ほーんてっどほすぴたる《改訂版》
「わかる必要ねーし。あんた間もなく死ぬんだから、ガチで。哀れなアクマに魂の救済を」
 忠吉を右手に下ろし、身体も右にひねる。
「四剣星閃流……」
 部屋の空気がぴんっと張りつめ、あかりの元――正確には、忠吉の刀身へと空気が収束していく。
「なにをする気か知りませんが、そのカタナの間合いでは、わたくしを捉えることはできませんよ!」
 言って、またもスーパーボール状態で部屋中を飛び回るバトラー。
「さあ、どうします! あなたにはわたくしの姿が見えていますか? わたくしはいつでもあなたを切り刻むことができますよ! 紳士の信念には反しますが、旦那様をお守りするためには、例え相手が女子供とて容赦はいたしません!」
「ジル。なんとなくなのだが」
 ディルクが話しかけてきた。
「ん?」
「なんだか『オヤクソク』の匂いがしないか?」
「だな。小悪党がぶちのめされる前兆だ」
「しかも、フィニッシュがあかりとなると……」
「部屋から出てた方が良さそうだ」
「うむ。そうしよう」
 二人でいそいそと部屋から出る。出たところに灰皿があったので、ダヴィドフに火をつけた。
「背中がガラ空き! 終わりです!」
「壱ノ剣! 裂空《クウヲサク》!!」
 
ばがあああああぁぁぁぁぁぁんっ!!!
 
「あべしっ!!!」
 昔どっかで聞いたような悲鳴。部屋の中で手榴弾が炸裂したのかと思うほど、とんでもなくバカでかい衝撃波がフロア全体を襲い、部屋の出入り口から、ボロボロになったストークスじいさんとバトラーが吹き飛ばされて飛び出してきた。
 あまりの揺れで、タバコの灰が落ちそうになった。くれぐれもタバコは灰皿のそばで。
< 44 / 50 >

この作品をシェア

pagetop