ばうんてぃ☆はうんど・vol.3~ほーんてっどほすぴたる《改訂版》
エピローグ
「続いてエントリーナンバー6! ジャパンからのチャレンジャー! アカリ・シノミヤ! この小さい身体で、ホントに挑戦する気なのか? せめて、1皿くらいは食ってくれよ!」
 会場に沸き起こる、爆笑とブーイングの嵐。まあ、無理もねえ。あかり以外の7人はどいつも、220ポンドはありそうな大男ばかりだ。
 ショッピングモール『ミラクルマイル』出入り口のすぐ横。あかりが行きたがってたピンクス・ホットドッグ。なんかの記念イベントだか知らんが、ホットドッグの早食い大会が開催されていた。
 長いテーブルの前に8人の選手が横一列に並び、それぞれの前に紙皿が置かれ、その上にホットドッグが5本ずつ乗っている。10分以内に一番多く食ったやつが優勝。はっきり言って、ネイサンズが毎年やってるアレのパクリだ。ネイサンズに訴訟を起こされねえか、こっちが心配になる。
「レディ・ゴー!」
 レフェリーのかけ声とともに、競技がスタートした。みんな、一斉にホットドッグをほうばり始める。やっぱアメリカ人の食い方はきたねえ。あかりはいつも通り、淡々と食ってやがる。
 そんな様子を横目に眺めながら、俺とディルクも普通の屋外の席で普通のホットドッグを食う。
「――普通の味だな」
「だから言ったろ? けどこの普通の味で、80年もL.A.で商売続けてんだ」
 ディルクはピンクス・ホットドッグ初体験だ。
「しっかし、なんだよこの値段。チリドッグが5.50ドルって、どんだけぼったくりだよ」
 メニューを見ながら俺はぼやく。メニューはハリウッド店と同じなのに、値段が全然違うのだ。
「ベガスという土地柄だろう。地価が高いからな。それが価格にも反映されている」
 ディルクは冷静にホットドッグを口へ運ぶ。
「無駄遣いしてる余裕なんかねえってのに……。で? 今回はどんだけの金が飛んだんだ?」
 全然儲からなかったことは、もうわかってる。
「あかりが破壊したベラージオのスイートの修理費で、およそ1,000,000ドル。今回の軍資金のために借り入れた借金の返済で、およそ670,000ドル。その他もろもろ必要経費を差し引いて……」
 ダイエットコーラを一口。これからバイク運転しなきゃなんねえから、ビールは我慢だ。
「残金、日本円で30万といったところか」
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