ばうんてぃ☆はうんど・vol.3~ほーんてっどほすぴたる《改訂版》
「たぶん組織だろうな。金のかかり具合から見て。ストークスが窓口役になって参加者のおっさんどもやターゲットを集め、現場を監視。資金や舞台の用意は、バックの組織が担当――ってとこだろ。ちなみに、ターゲットを仕留めたやつには、賞金100,000ドル。今まで、どのくらいの人間がターゲットにされてきたのか知らねえが」
 もう1本、ダヴィドフに火をつける。
「そうとうでかい組織だ。米軍と太いパイプを持ってるほどの……な」
「……ジルには悪いが、米軍のうさんくささは相変わらずだな」
「気にすんな。俺も同感だ。むしろ、うさんくささが年々増してやがる」
 紫煙を一息吐く。
「で。ストークスとハンティングの参加者は、なにかしゃべったのか?」
 今は全員、ラスベガス市警で取り調べ中だ。FBIも動いてるらしい。
「黙秘権とやらを行使してるらしいぜ。ま、これから先もなにもしゃべらねえだろうな。余計なこと言えば、次の日にはモルグへ行くハメになる」
「しゃべらなくても、行くような気がするがな」
「右に同じ」
「優勝は、アカリ・シノミヤ――!!」
 10分経ったようだ。レフェリーがあかりの優勝を宣言した。他の連中はぐったりしてるのに、一人だけ無駄に元気なサムライガール。最初はブーイングしてた観客も他の対戦者も、今はあかりに拍手を送っている。
 10,000ドルの小切手入りの封筒を持って、こっちへ走ってきた。俺はタバコを消す。
「マジちょろいし♪」
「ごくろーさん。これで餓死することはなさそうだな」
「次の仕事でしくじらなければな」
 水を差すようなことを言うディルク。本人に悪気はないのだが。
「結局、何本食ったんだよ?」
 あかりはイスに腰掛けながら。
「んっと、82本」
 思わずコーラを吹き出した。
「うっわ! マジありえんてぃー!」
「お前! 今年のネイサンズの世界記録知ってんのか?!」
「知らね。てか、ネイサンズってなに?」
「1916年から、ホットドッグ早食い選手権を行っている、アメリカの老舗のホットドッグ屋だ」
 俺の代わりにディルクが説明した。
「ふーん。それがどーしたの?」
「75本だぞ?! なにさらっと、世界記録更新してんだよ!!」
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