空色


ロンドン。

あの人の住む街。

それだけで心臓がいつもの倍の速度で動き出す。

ついに来てしまった。

会えるわけがないのに。

期待してしまう自分に呆れる。

“モーガン?どーかした?”

サングラスをかけたライアンが、あたしの顔を覗き込む。

サングラスのせいで彼の表情は読み取れないけど、あたしは今きっと不安にさせてる。

言わなくても分かってしまうから。

“キレイな街だなぁと思って。”

あたしはにっこり微笑んだ後、サングラスをかけた。

眩しいからっていうのは口実で、ホントはこれ以上あたしの心を読まれたくなかったから。

ロンドンの空は、なんだかカリフォルニアの空よりは曇っている気がする。

まるで悲しんでいるみたいに…


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