空色


二人でまわるロンドンの街並みは、映画の中にいるみたいに綺麗で。

はしゃいでる間は、あの人のコトは忘れていた。

と思ってた。

“マイクっ!”

誰かがそう呼ぶ声がして、反射的にあたしは振り向く。

マイクと呼ばれた小さな男の子が母親のもとへとかけていった。

それを見て何故かがっかりすると同時にほっとする。

“モーガン?”

ライアンが不思議そうな、切ない目をしてこちらを見つめる。

これ以上、彼を苦しめられない。


“…ライアン。あたし、言わなきゃいけないコトがあるの。”


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